AK note

ビデオゲームの考究と企画についてのヒント

想い描いた理想のゲームの中にこそオリジナルな発想が隠れている

「自分の理想とするゲームが作りたい」という考えは、ゲーム制作を目指してきた人なら誰もが持っている心情のようなものです。しかし制作会社に入りプロとして制作に携わるようになってもそんな仕事はまずさせてもらえません。

会社の方針でおおよそのゲームタイプやジャンルは行程に入っていて、ディレクターとして任される仕事もそのスケジュール内の制作をこなす作業が殆どです。若きクリエイターはいつか自分のゲームが作れるその時をと夢見ながら、目の前の仕事を一所懸命がんばっているというのが現状ではないでしょうか。

しかしこの「自分の理想とするゲーム」という想い、考え方は非常に重要です。学生時代から考えていたゲームだったり、好きな既存のゲームを自分なりに修正したり変更したりというゲームだったり、そのままでは稚拙な部分も多く使い物にはならないかもしれません。しかし大切なのは『自分なりのこだわり』をそこに見出しているということです。

日々の仕事を経験していくうちにその自分の発想が未熟なものであるということに気づき、少しずつ頭の中で修正され追加され、そして1つのゲームとして成熟するものもあれば、いくつかのアイデアの集積となって大切にストックされるものもあるでしょう。

これこそが『オリジナルな発想』の原点となるものです。

「全く新しい発想のゲームシステムを考えて販売しよう!」という制作会社の経営者はまずいません。市場にある可能性を模索し、なんとかして売れる商品の開発をと考えるのが運営の仕事です。

それがクリエイターからすると一見素人のような、日和見的な着想であってもそれに反発することなく、その限定された方向の中に自分なりの『オリジナルな発想』を取り入れて作ることが出来るかどうかは、毎日一所懸命こなしてきた仕事の量に比例するのです。

「他社のあのゲームが売れたから、あんな感じのゲームをいい感じであれしてくれ」

まあこんな言いようは無いにしても、経営者の言葉には足らない要素もあったりしますが、そこはクリエイターではないのであたりまえのことと捉えなければなりません。そしてこんな要望であっても他社との差別化を図りつつ制作しなければならないのです。

経営者あるいはプロデューサーは売れた商品と同じものを望んでいるのではなく、同じような遊びを他社のヒット商品を参考にして作ることを望んでいるわけであって、その曖昧な部分こそが自分なりの『オリジナルな発想』を取り入れられるチャンスと考えるべきなのです。

得意ではない仕事でも、いつかその時のためにがんばっていると自分の中にある発想やアイデアの集積が汎用性を持ち始め、さまざまなニーズに対応出来る『オリジナルな発想』として徐々に使いこなせるようになってくるはずです。

そして、ずっと思い続けて来た『いつかその時』が『今』であることに気がつくはずです。

ゲームクリエイターは芸術家ではありません。商品開発の要となる発想やアイデアを論理的に構築し、その原型を作る職人のようなものかもしれません。もちろんユーザーを感動させたり、笑わせたり、時には怖がらせたりと、その内面に訴えるような演出も必要です。しかしそれさえもタイミングや間のとりかたなどユーザーの行動を予測して、テクニカルに設定することでコントロールしなければなりません。

ゲーム作りが好きと言える人は業界にとってとても大切な人材です。だからこそ将来制作チームのリーダーとなり「あなたの理想のゲームは?」と聞かれた時「自分が制作したゲーム全てが理想のゲームです」と答えられるようなクリエイターになって欲しいと願っているのです。

 

*blog "games be" 2014年記事の再録