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ビデオゲームの考究と企画についてのヒント

ゲームの難易度設定は設計段階からすでに始まっている

難しいゲームは敬遠されがちです。もっともそういうゲームを好む人もいるとは思いますが、一般的には自分のプレイした時間や労力に対し、それに見合った分だけ結果が反映されるようなゲームが丁度いい難易度のゲームとされるようです。

難しいとされるゲームでも攻略法の無いものは難度とは言いません。偶然突破出来たけどもう一度やってみろと言われてもクリアーは出来ない……。 こんな状態ではゲームとしては調整不足と言わざるを得ないでしょう。

押し並べて全てのユーザーに同じ感覚で遊んでもらうことは出来ませんから、どこかの基準で調整するしか方法はありませんが、この基準を誤るとユーザーと制作者側との難易度に対する感覚の溝が開いてしまって「そんなに難しくしたつもりはなかったのに……」という結果になってしまいます。

 

では、制作者側からこの『難易度』について考えてみましょう。

本当のところ… これは私の経験としてですが、難しいゲームは比較的簡単に作れます。言い換えれば、ゲーム制作に馴れてない人がゲームを作るとおおよそ難しくなります。

しかしこれは考えてみれば当たり前のことで、そもそもゲーム制作とは独自のルールを作ってそこでプレイするユーザーに負荷をかけるようにいろいろな設定をしていくわけですから、設定を増やせば増やすほどユーザーの行動条件が制約されていきます。

ゲーム制作の基礎で習うかどうかは分かりませんが、どんなジャンルのゲームでも難易度は最初の何も無いスタート地点から考えていかなければならないものです。プレイ出来る状態までとりあえず作ってから難易度を調整するような考え方は素人のやることです。

難易度の考え方としてアクションゲームを例に説明しましょう。

まず、何も無い平坦な道をプレイヤーが移動するという構成。操作としてはこれが一番負荷のない簡単な状態です。しかしまだゲームとは言えません。

ここに地面を凸凹にして移動しにくくして負荷をかけます。これでも移動は出来ます。それから敵を配置します。弾を撃つ敵は凸に、体当たりする敵は凹に置きます。まずは何も考えず規則的に一定の間隔で配置します。

これで登場させるものは全て配置しました。素通り出来たり必ず当たる理不尽な敵がいたりしますが基本的には遊ぶことが出来ます。ここがゲームとして成立する境界線となります。

この状態を難易度を示す値として『 0 』ポイントとします。

ここからゲームとして調整していきます。そして敵や障害物などもっと要素を加えていく毎にポイントが『+10』『+20』と増えていきます。もちろん数値が大きくなるほど難易度が上がるということになります。

制作者はあまり『+』(プラス)にならないように体力回復や攻撃力を増やすアイテムを置いたりしますが、なにより気をつけなければならないのが『ー』(マイナス)になってしまうことです。

それは最初に設定した『0』ポイントよりも簡単になることです。『ー』(マイナス)になるということは設定の最低条件を下回ってるということです。すなわちゲームとして成立していないことを示しています。

敵など多く配置されているのにプレイしてみるとスカスカで手応えが無い状態になっているわけです。見た目はアイテムも沢山出てユーザーの行動も制御されているように見えても、設定がいい加減だとこういうことになってしまいます。

この難易度ポイントの仕組みを理解している人なら、面白いアイデアが沢山あるからといってポイントをむやみに増やそうとは思わないでしょう。出来るだけ難度を上げず『0』に近くなるようにバランス良く要素を増やそうとするはずです。

仕上がりの難易度を調整する以前に、構成段階での設定を論理的に考えて作ることは、『感覚』で評価される非常に難しい遊びの水準を、ある種、画一的な手順で一定のレベルにまでしておくことであり、才能やセンスではなく方法として誰もが使える考え方だと思います。

 

*blog "games be" 2014年記事の加筆・修正