AK note

ビデオゲームの考究と企画についてのヒント

夏休みの自由課題で作ったパチンコゲーム

小学校の3年生だったと思います。夏休みの自由課題でゲームを作りました。ゲームと言ってもデジタルではありません。そのころはまだコンピュータを役所や民間会社で『電算機』なんて呼んでいた時代ですね。

それまで夏休みの宿題というと昆虫採集やそのイラストなんかを描いていましたが、毎年同じことをしているのも芸がないと思い、以前から考えていたゲームを作ることにしました。

最初はデパートの屋上にあるような筐体型のとても大掛かりなものを考えていましたが、とんでもなく現実離れしていて設計図を描いていると気が遠くなってしまったので、もっとコンパクトで持ち運びの出来るものにしようと思いました。

ゲームのジャンルで言うとパチンコでしょうか。玉を弾いて得点カゴに入れるという単純なものです。

素材は主にダンボールです。メインとなる土台には家にあった野球盤ゲームの箱を使うことにしました。少し大きいとは思いましたが、入れ箱と蓋を使えばそのまま持ち運び出来そうです。

コンパクトで持ち運べるゲームのサイズが野球盤の大きさって……。約50cm四方の箱でもイメージがゲームセンターのゲーム機と比較しているのでそうなったんですね。まさか十数年後に手の中に収まるTVゲーム機が登場するなんてその頃は夢にも思っていませんでした。

 

制作はそんなに難しいものではありません。台になる入れ箱に蓋の部分を直角に立てて留め具になる棒状のダンボールを付ければステージの基礎は完成です。

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そして蓋の裏側の部分に玉が入る得点カゴをつけていきます。口の大きいものは得点が低く小さくて入りにくい場所にあるものは高い得点を設定しました。

得点カゴの周囲には、これもダンボールで作ったハネを取り付けました。最初平らな面を上に向けて取り付けていましたが何度か試していると折れ曲がってしまい、それから縦や斜めにつけるようにしました。

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そしてなんといってもこのゲームの主役はシューター部分です。玉はピンポン玉を使用し、それをステージの上まで飛ばす動力装置です。

これもダンボールで作ります。まず細長くダンボールを加工してそれを蛇腹に折り曲げます。これをスプリングの代わりにします。

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このスプリングを台座とホールダーの間に取り付けて片方だけ固定すれば完成です。

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ゲームは温泉街の遊技場なんかにあるスマートボールに似ていますが、ぼくとしてはもう少しスピード感のあるものをイメージしていました。玉が台の上を転がるよりもシューティングゲームのように撃つ感じです。遊園地にあった的当てゲームが近いかもしれません。

出来は上々で、まあ小学生の作ったものですから見栄えは良くはありませんが、機能的には思い通りのものが出来たように思います。

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得点カゴとシュータ―部分が当たらないようにしておけば、留め具を外して蓋をすることができます。一応持ち運びは出来ますが、見た目は夏休み明けに堂々と野球盤を持って登校している訳ですから先生にも呼び止められます。

パッケージデザインなんて言葉もしらなかったわけで、箱をそれなりに綺麗にデザインすれば見栄えも良かったのかもしれませんが、ぼくの興味はゲーム本体であって全く気にもとめませんでした。

 

しかしこの後ちょっと意外なことになりました。

クラスでは大評判だったんです。みんな集まって順番に楽しんでいました。他のクラスからも噂を聞きつけてくる児童もいました。

でも提出後、自由課題の優秀作品が並べられている図工室にその大人気だったぼくのゲームはありませんでした。なんだか期待が大きかったのですごくショックを受けたのを覚えています。

先生に訊くと、ゲームという題材が良くなかったということでした。出来がどうとかではなく印象が悪かったようです。

なんなのでしょうか。…… ゲームは不良がするからでしょうか。教育上よくないからでしょうかね。

 

それから一年。4年生での自由課題では蒸気機関車のミニチュアを作りました。たしか友達のTくんとの共同作業でした。

そのころぼくは電池で動かすモーターに凝っていて、バルサ板という軽くて丈夫な木の板を加工してよくモーター自動車を作っていました。ですからこの要領で車軸を回して汽車を動かすことは難しくはありませんでした。Tくんは蒸気を発生させて煙突から煙のように出すんだといってその仕組みを考えていました。

しかし、出来上がりは良くありませんでした。本来汽車は駆動車輪をシリンダーからの圧力で押し出される主連棒というので動かします。自動車のような車軸をモーターで回す単純な構造ではありません。それでいろいろ工夫したのですが出来ませんでした。結局自動車のように車軸を通してリヤタイヤだけが回転するようにしました。

またTくんのほうも考えた挙句、車体の中にアルミ缶をぶら下げて下からアルコールランプの火で熱するということになりました。頼りない湯気が微かに煙突から漂う感じです。

いろいろアイデアを詰め過ぎて時間がかかってしまい、車体も色を塗れずにバルサのままです。一応提出はしましたが、出来上がりは機関車の格好をしたハリボテ自動車のようでした。

ところが! このハリボテが最優秀賞を取ったんです。

決めてはなんとあの水蒸気でした! 水を温めて気体にする構造が学習内容に合っていたとかなんとか。……

 

しかし本当のところ、ぼくは他の理由があったのではないかと思っています。当時担任の先生はこの作品についてあまり良くない曖昧な評価をしていたんです。ぼくも自信なく聞いていましたが、その話のニュアンスに『去年のあの作品が評価されなかったから』というものを感じたんです。先生はぼくを慰めるように優しく言ってくれましたが、そうされるとますます勘ぐってしまいます。

要するに「去年はいい出来だったが題材が悪かったので落したが、今回出来は良くないが去年の分を上乗せして評価した」ということです。

まあ、直接聞いたわけではないので真意はわかりませんが、モノ作りの基本はアイデアや仕組みとその完成度だと思うので、なんだかいろいろ傷ついたなあって今も思います。