AK note

ビデオゲームの考究と企画についてのヒント

頭の中で完成した商品イメージをデバッグする

ゲームを企画しているとき、頭の中ではどの程度まで具体的に考えがまとまっているでしょうか。私はスタートボタンを押してからエンディングのスタッフロールまで一連の流れが追えるところまでとりあえず考えておきます。

ゲーム制作に限らずどんなものでもそうですが、何も無い状態からモノを作り出す作業はエンドを自分で決めなければ永遠に終わりません。ですから感覚的にプラモデルの箱を開けた時のような『全体の作業量』を把握しておきたいということがあります。

「企画段階で頭の中に出来上がりのイメージがある」という感覚を同業者に言うと結構驚く方が多いのですが、逆に私は最後まで出来上がりが想像出来ないモノをどうやって人に伝えて作っていくのかと不思議に思います。

最近でもゲーム制作の遅れが販売延期につながったり、途中で頓挫してしまったということも稀に聞きますが、そうなってしまう原因の一端になっているのではと考えることもあります。

 

制作が始まると各スタッフから一斉に質問攻めにあいます。設定書通りに作業を進めていても、細かな指示はその都度行なわなければなりません。またどんなに注意をしていても設定に矛盾が出てくることもあり、その対処をどうするのかその場で決断しなければなりません。

先に何があるのか制作者が把握していればこのような状況でも即答出来ますが、出来上がりのイメージも無く行き当たりばったりでは指示のしようもありません。

特に「プログラム待ち」状態というのをよく見かけました。設定書は渡してあるのでその通りにとりあえずプログラムしてもらって、それが画面で確認出来るようになってから判断するという状態です。

スタッフはこれをされると非常に困ります。その間にすることがあればいいのですが、大抵はプログラムが終わるまで作業がストップしてしまいます。そしてこれが毎回続いて常態化してしまうと工程の遅れやスタッフのモチベーションの低下にもつながります。

そもそも設定した段階でプログラムして画面に出たらどういう動きになるのか制作者は理解しているべきで、プログラムを組まないと判らないというのは少し問題があると思います。

 

妄想する頭の中のゲームは、ある部分においてはしっかりとプレイも出来てそこで発生する不具合を見つけることも出来ます。設定書を渡した後もデバッグをする要領で頭の中で遊んでいると、幾つも辻褄の合わない箇所が出てきます。その時はプログラマーに言って事前に訂正します。

ゲーム制作を幾つも経験しているクリエイターは、私だけではなくみんなこのように具体的なイメージをいつも頭に描きながら作業されていると思います。経験の浅い人やプロではない人はなかなか難しいかもしれませんが、途中で作業が止まったり方向を見失ったりすることがないように、出来るだけエンドまでの具体的なイメージをもって制作を続けていってもらいたいと思います。

あまり得意ではないという人は、『絵コンテ』を作ってみるといいかもしれません。私が最初に手がけたオリジナルゲームは絵コンテを描きました。人には見せられないくらい雑でヘタクソなものでしたが、全体の容量が把握出来るだけではなく、スタッフの作業量や工程の日数も逆算することが出来ました。また最初考えていたアイデアの幾つかをこの段階で作業量的に没にしたり設定を削ったりもしました。

おかげで作業日数も予定通りに出来ましたし、アイデアを削るという悔しい思いも、自分の中で納得出来る理由がそこにあるので悩むこともありませんでした。

 

モノを作る仕事は結果が全てです。その途中の努力なんてなんの評価にもつながりません。でも言い換えれば、作る工程は自由なんです。どんな方法でも自分にとって有益なことであれば実行するべきです。人がどう言おうが目的をもっていればそれで構わないと思います。

その為には妄想であろうがゲームバカと言われようが気にせず、遊んでくれるユーザーの為に結果を出すべくゲーム制作にまい進してもらいたいと思います。

 

*blog "games be" 2014年記事の加筆・修正