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AK note

ビデオゲームの考究と企画についてのヒント

短波放送ラジオに異国の空気を感じていたころ

中学生になった頃、世間では短波放送ラジオのちょっとしたブームがありました。国内はもとより海外の放送を受信する BCL(Broadcasting Listening) がおもしろくて、専用のラジオにアンテナやカップラー(電波整合器)なんて付けていっちょまえに外国の放送をチューニングしていました。

目的はベリカードという各放送局がオリジナルデザインで発行している受信確認証を受け取ることです。このカードはハガキほどのサイズで、そのまま切手を貼って送られてくることもあれば、その局の番組表(タイムテーブル)や小冊子と一緒に送られてくることもあります。

封書には見たことのない珍しい切手や外国語が独自の書体で描かれていて、異国の文化に直接触れる感動がありましたね。

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しかしこのベリカードを受け取るには受信報告書というものを作成して局に送らなければなりません。こちらの住所だけ送りつけてもカードを貰えるわけではないんです。

目的の放送局が受信できたらその周波数や受信時間(最低1時間の聴取)そして番組の内容や感想など、公用語の英語で記述しなければならないのです。このあいだまで木登りしたりビー玉を弾いていたぼくにとっては大変なことです!

当時BCLの専門書が多く出版されていて、そこに見本として書かれている英文をそのまま固有名詞だけ替えて書いたり、よくわからない時は英語で「聞いた。おもしろい。ベリカードくれ!」とちょっとクールに書いてみたりしていました。

それでも大概は丁寧に手書きの宛名の封書が送られてきました。ワープロはまだ普及していませんでしたから各局は大変だったと思います。当時の流行で突如日本国から毎日大量の受信報告書が送られて来たに違いありません。

 

世界とつながる体験はぼくにとってとても貴重なものでした。オーストラリア放送のように日本語の番組もありましたが殆どの国際放送は英語や外国語でした。それでも根気よく聞いているとなんとなくその国の空気が伝わって来るように感じました。

今はインターネットがあります。ゲームでもプレイヤー共有や情報交換などが可能となりました。ぼくの経験から言うとネットでつながった相手の名前や年齢、性別や容姿がどうであれ、一緒に遊んでいる空気が上手く共有出来ているかどうかが重要で、共闘にしろ対戦にしろ得点や報酬のためだけにつながってる感じはあまりおもしろいとは思いません。

つなげた時や終了した時などに挨拶をきっちりしてもしなくてもいいんですけれど、一緒に遊んだ痕跡はどこかに感じていたいと思うんですね。

 

当時BCLからアマチュア無線(ハム)に移行する人もいましたがぼくはやりませんでした。個人的なやり取りやある種のコミュニティを望んでいなかったのかもしれません。また運動部で毎日くたくただったのもありましたけど、今思うと未知の不確かな異国の世界に魅了されて、まるで知らない国を冒険するように電波の波に漂い、微かな音に耳を傾けて確かに存在するそのリアルな確証を得るためにベリカードを手に入れていたのかもしれません。眠い目をこすりながら聞いた知らない国の音楽を共有したという一瞬を、数週間後に届いたベリカードが証明してくれた時の喜びはいつまでも記憶に残っています。

そういうふうに考えると、みんなが集まって遊ぶゲームとネットにつながった見えない人同士で遊ぶゲームとでは、似ているようで実はまるで違う種類のものかもしれませんね。